編集後記

人口減少社会、道州制の導入の検討、対岸諸国の経済発展、グローバル化と、私たちの住む北陸、そして北陸を取り巻く状況は、日々変化している。世界は今どうなっているのか、我が国では何が起こっているのか、そして私たちは何をしなければならないのか。今回の「北陸の視座」は、東京大学先端科学技術研究センター教授・大西隆氏、東北学院大学教養学部教授・柳井雅也氏にお話を伺った。

大西氏には、先頃公表された国土形成計画の中間取りまとめから、その主要な論点と今後の課題についてご講演頂いた。論点の一つである地方分権に関しては、「道州制の議論は広域地方計画と一体のものとして考えるべき。また、地域づくりには行政力や財源を持った政府が必要になる。そのためには、道州制を導入し、広域地方計画と整合をとることが求められる」と今後の地域運営のあり方について持論を展開されたほか、開発主義からの脱却と新たな地域振興手段の必要性、国際化の進展への対処とアジア諸地域との連携、改善を要する国土利用計画制度について解説された。重要なことは、人口減少社会における国土構築と地域間格差への対応について触れられ、その上で、北陸地方では何をすべきなのか、地域の現状や特色を踏まえ、考えるべきであると結んでいる。

柳井氏には、北東アジア地域の現状と今後の北陸のあり方についてお話し頂いた。「北東アジア各国の貿易額をみると、既に対中や対香港が対米を上回っている」とアジアの経済活動の活況を紹介。また、環境面から見た海運の評価の高まりや多頻度小ロット輸送の増加を考えれば、北陸は三大都市圏とも近接しある程度整備の進んだ港湾を擁していることから、現状では太平洋側や九州の方が優位とはいえ物流の拠点となりうる可能性は高いと説明された。その上で、港湾のバースの水深不足改善や港湾・空港と高速道路IC間のアクセス性の向上、また港湾の個性化や役割分担といった、物流機能強化の必要性を指摘された。このほか、人的交流の深化やソフト面での施策、北陸の共通イメージの創出と情報の発信といった、今後の地域づくりの指針を示された。

お二人の論旨に共通するのは、総合的な計画や全国の動き等を前にして、北陸として今後どういったことを考える必要があるのか、すなわち今の北陸の問題点や弱み、不足しているものは何であるのかを把握し、それに対処するために何をしてゆかなくてはならないのか、という点である。これからの地域づくりに関する課題が、今示されたところである。それを克服してゆくのは、北陸に住む私たちに他ならない。

(北陸の視座・編集事務局)

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