地域指標

大河津分水路の整備効果

2007.4

北陸建設経済研究会

1.研究概要

1.1 背景・目的

平成19年4月1日、政令指定都市となった新潟市は、約81万人という本州日本海側最大の人口を有し、同時に田園と市街地が共存する、水資源と肥沃な大地に恵まれた、住みやすい都市として発展を続けている。

ただ、その昔、新潟市や周辺地域は低湿な平野であったことは、一般にはあまり知られていない。その地が今日のような発展を遂げることができたのは、信濃川河口から約60km上流にある大河津分水が整備されたためである。大河津分水路は、分水町(現在は燕市)の地より日本海に向けて約10kmを掘削した人工河川であり、その整備によって越後平野の洪水被害は格段に軽減され、越後平野の発展がもたらされた。

当研究会では、大河津分水が地域経済に与えた効果について、これまで検討される機会が少なく十分に把握されているとは言い難いものがあったことから、「大河津分水路の整備効果」をテーマとして分析作業を行い、その整備効果を明らかにした。

1.2 分析内容

大河津分水路の整備効果のみを抽出することは困難であるので、本分析では大河津分水路が存在しなかった場合の想定浸水区域をあらかじめ設定し、その区域が大河津分水の通水によってどれだけ発展したかを調査することとした。区域の設定にあたっては、浸水被害区域をシミュレーションしている国土交通省北陸地方整備局信濃川工事事務所(現信濃川河川事務所)「大河津分水洗堰パンフレット2002.3」を参考とした。また、整備効果の大きさを確認するため、大河津分水路の上流に位置する長岡地域を対象として発展の度合いを比較することとした。

その上で、信濃川の洪水位・流量の低下、西蒲原地区の水害回数の減少、湛水面積の減少という過程を経て、各種指標を参考に当該区域がどの程度経済的に発展したかを探った。なお、当該区域の明確化のため、文中では「平成の大合併」実施以前の市町村名で表記した。

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