観光は、地域内の多様な産業への波及効果を含めた地域経済への影響や、地域外への交流による地域の誇りや愛着の醸成など、これからの時代の地域活性化を考える上で重要な産業である。
一方、観光産業は、近年のライフスタイルの変化や価値観の多様化に対応するため、これまでの大多数に一律のサービスを提供するといった観光から、特定の市場・ニーズに対応した観光への転換期をむかえていると言える。
例えば全国にみられるスキー客の長期的減少で言えば、近年の地球温暖化に伴う少雪傾向の影響は当然あるものの、こうした多様化する顧客ニーズに対応できていなかったという見方も否定できない。
本研究で対象としている新潟県魚沼市においても、スキー客の長期的減少とスキー場の経営悪化は例外ではなく、冬季観光の多くの部分をスキーを中心としたウインターレジャーに依存してきた当地域にとっては、地域の活力維持にも大きなダメージとなっている。
ここでは、新潟県魚沼市をモデルケースとし、これまで市町村で運営されてきた「スキー場」の再構築・再生に言及しつつ、冬季観光のあり方を「雪」の利活用から再考するものである。スキー観光を取りまく厳しい情勢と激しい競争のなかにある魚沼市のスキー場の実情を踏まえた上で、活用可能な地域内の観光資源の抽出と、ステークフォルダーを明確にしたスキー場の生き残り戦略・冬季観光の活性化戦略を提案し、それにより地域が冬季観光の活性化の第一歩を踏み出すことを目的としている。
今回はスキー観光の現状と研究活動の方針について中間報告する。
1. 魚沼市のスキー場と冬季観光資源の分析
(データ収集&ヒアリング)
2. スキー場と雪の活用に関する注目事例の収集
(ケーススタディ)
3. 魚沼市のスキー場及び雪を活用した活性化プランの検討
6. 成果の取りまとめと公表・発信