編集後記

国土形成計画の広域地方計画や道州制に関する議論の高まりを背景に、都道府県という既存の枠組みを越えた広域的な地域、地域間の連携を考える時代を迎えている。地域づくりや社会資本の整備・活用においても、これまでの東京中心の考え方を脱却し、地域が主体で考えていかなくてはならない時代になりつつあるといえる。

しかしながら、現実社会は、なかなかそうはなっていない。人・モノ・情報の東京への集中はますます加速し、地方が弱体化している。社会資本整備にしても、空港や港湾は成田や羽田をはじめとした国際空港やスーパー中枢港湾が中心であり、地方は置き去りにされた感がある。建設中の北陸新幹線は地域間連携に新たな可能性をもたらすものであることに異存はないが、いかにして東京の人を北陸に呼び込むかを考えておかなければ、北陸から東京への人の流れが加速するものと考えられる。そのためには、後述するような観光の振興をはじめ、できることに今から手を打っておく必要があるのではないか。

それに加えて、社会資本の整備効果に限界があることや、公共事業をこれまで通りの水準で続けることが困難となりつつあることも、徐々にではあるが明らかになっている。

インフラの整備は、人的交流や企業進出を通じて地方の定住人口を増加させ、ひいては地域経済の浮揚につながるとの考え方がある。かつてはそうだったのかもしれないが、今後の社会において、果たして従来のような効果が発揮されるかは不透明である。現在、北陸地域の4県で新幹線があるのは新潟県だけだが、4県中最も人口減少が顕著なのも新潟県であり、県民所得が最も低いのも新潟県である(国勢調査、県民経済計算年報)。

国全体が人口減少社会を迎え、税収も企業利益も飛躍的な拡大が見込めない中で、公共事業だけを一定水準確保するのは適切なことであるかとの疑念もある。富山市や青森市等が取り組んでいる「コンパクトシティ」構想は、市街地の拡散を抑制し地域運営にかかる行政コストを縮減するのが主眼である。もし、これからも公共事業の執行を今の予算水準で継続するとしたら、現存する社会資本の維持コストに加え、新たにつくられる社会資本のコストが必要になる。社会資本によって市民が享受する便益や効果は当然あるとはいえ、次世代が背負う負担はさらに増加することになる。

では、これからの地域づくりをどう考えればよいのか。国土交通省では、今年10月に観光行政を扱う専門の外局として「観光庁」を発足させるが、少子・高齢化による国内地域経済の落ち込みを補い、地域の活性化を図ることがその狙いである。国内で年間約24兆円にも達する観光客による飲食・宿泊等の消費が地域経済へもたらす効果は小さくないと考えられるし、既存の地域資源・観光資源を見てもらう、つまり今あるものを活かすという点では新たなコストを要するわけではない。観光振興がどの地域でも最適とは断言できないが、従来の地域づくりの考え方を再考する一つの契機になるのではないだろうか。

(北陸の視座・編集事務局)

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