平成16年10月23日、中越地震が発生した。壊滅的被害を受けた旧山古志村(平成17年4月1日より長岡市に合併)は全集落が離村し、同時に路線バスは休止となった。復旧作業の進行とともに住民は山古志に戻り、地震発生から3年以上が経過した平成19年12月には希望する全世帯が仮設住宅から帰村した。しかし、全集落帰村の直前の12月14日をもって路線バスは廃止となることが決まっており、高齢者が日常生活をおくる上で、また小中高校生の通学など子育て世代にとっても大きな問題となる。公共交通の確保は、全ての人が自立した生活をおくり、中越地震からの復興するためには不可欠である。
本報告は、路線バスの廃止が決まった長岡市山古志地区および隣接する長岡市太田地区において持続可能な公共交通の導入を検討した過程とその内容をまとめたものである。
公共交通の衰退は、全国の中山間地域はもとより地方都市でも大きな問題となっている。
地震により、人口減少・高齢化が一気に進んだ中越地震の被災地におけるこの試みは、中山間地域のモデルになりうると確信している。