「新たな公」とは、従来の「官」が担ってきた公共サービスや公共事業に、「個」や「民」と呼ばれる住民やNPO、企業等の主体が参画し、協働体制により地域の課題に対応する考え方である。
これまでも地域社会が「協働」により「官」を補完する形で地域の様々な役割を担ってきたが、急速に進む少子化、高齢化による担い手不足等で維持が困難となったために、新たな動きとして地域住民と地域外支援者などが「協働」して地域の問題解決や地域活性化に取り組む事例が多く見られる。
本研究は、北陸建設弘済会の公益事業による共同研究プロジェクトⅣ『「新たな公」による北陸の地域づくりの調査研究』として、地域づくりへの活用のポイントや地域特有の問題解決の取り組みに対する調査研究である。
これまで日本は、国(官)主導の社会・経済基盤(インフラ)を整備してきた。
しかし、そのインフラ整備の画一性から地域の魅力の喪失、地域振興の「官」依存など、負の部分も表面化している。
特に近年の少子化、高齢化という社会環境の変化に伴い、社会システムとして、コミュニティ・ネットワークによる相互扶助や「官」の役割の見直しが求められている。
そこで公共サービスに関して、「官(行政)」と「民(住民 ・企業)」が協働して担うという「新たな公」という考え方がひろがり始めている。
図1 「新たな公」の考え方