北東アジア(東北アジアとも呼ばれる)という地域区分が世界的に使用されるようになったのは1980年代以降のこととされる。この時期は、国連開発計画(UNDP)による豆満江(とまんこう)開発計画の検討がスタートし、日本では北陸をはじめとする日本海沿岸地域が一斉に「環日本海交流」や「環日本海経済圏」に取り組み始めた時期にあたる。国際協力や経済圏の形成をテーマにした国際会議や研究発表、交流活動が活発化したことで、「北東アジア」の認知や注目は一気に高まった。
北東アジアを構成する国々についての明確な定義はなく、かつては日本、中国東北部(遼寧省、吉林省、黒竜江省の東北3省)、朝鮮半島、ロシア沿海地方を指すことが多かったようだ。
現在では少しひろがって、日本、中国(全土)、北朝鮮、韓国、モンゴル、ロシア(沿海地方、ハバロフスク地方、サハリン州の極東3地域)の6カ国とするケースが一般的である。
北東アジア諸国の概況を見ると、中国、モンゴル、極東ロシアという広大な面積を持つ国や地域が存在し、豊富なエネルギーや地下資源を保有している。また急速な経済成長を遂げた日本、韓国、そしてその後ろを急ピッチで追いかけてきている中国が、この地域の経済成長を牽引している。(図1)
図1 北東アジア諸国の概況
国名 | 人口(2006) | 面積 | GDP(各国、2006) | 1人当たりGDP |
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中国 | 13億1,448万人 | 960万km2 | 2兆6,800億ドル | 1,700ドル(2005) |
北朝鮮 | 2,250万人(2003) | 12万km2 | 208億ドル(2004) | 914ドル(2004) |
韓国 | 4,884万人 | 10万km2 | 8,278億ドル | 18,372ドル(2006) |
モンゴル | 259万人 | 156万km2 | 12.5億ドル | 483ドル(2006) |
極東ロシア | 669万人(2002) | 622万km2 | - | - |
日本 | 1億2,777万人 | 38万km2 | 4兆9,911億ドル(2005) | 35,650ドル(2005) |
※極東ロシアは、沿海地方、サハリン州、ハバロフスク地方の極東3地域
(外務省、北海道等資料より)
先端技術や情報、広大な土地と豊富な資源、安価な労働力と、北東アジアには成長を実現するための条件がすべて揃っている。世界がこの地域に注目するのは当然のことといえるだろう。
北東アジアとともに「東アジア」という地域区分もよく目にする。狭義には北東アジアに台湾、香港を加えた「漢字文化圏」に重なる地域を指すことが多い。現在では、日本・中国・韓国とASEAN(東南アジア諸国連合;10カ国)を中心とする「東アジア経済共同体」構想が進行している。この構想に関する議論では、さらにインド、オーストラリア、ニュージーランドも参加している。したがって最も広義の東アジアは、北東アジア+東南アジア+オセアニア+インドということになる。