現在、東アジア諸国の経済は非常に好況である。中国がWTOに加盟した2001年以降、外国資本の参入や輸出の拡大を背景に、年平均7.9%のGDP成長率を維持し続けている。グローバル化の時代にあって、中国経済の成長が他の東アジア諸国にもたらす効果は大きい。中国からの経済波及によって、アジア全体の経済が活性化しているといえる。
中国では2020年までにアメリカに追いつくことを目指した「大戦略」を策定中だが、そうした長期的なスパンで考えても、一定の成長率は維持していくことが予想される。
ロシア経済を支えているのは、豊富なエネルギー資源である。天然ガス埋蔵量で世界第1位、石油の生産高ではサウジアラビアを抜き世界トップに立つことも多い。ロシア政府のエネルギー戦略では、今後アジア向け輸出が大きく伸びることが示唆されており、パイプラインを通じた周辺諸国との連携はますます強まると予測される。
韓国でも、こうした経済状況を好機として、ロシアや中国への企業進出が続いている。特に中国への企業進出数には目を見張るものがある。両国の国交が回復したのは、1990年以降のことであるが、わずか10数年の間で、その進出数は日本に匹敵するほどである。
経済面を考えれば、北東アジア各国の関係は良好だ。日韓のFTA協議も再開するなど、北東アジア経済圏に向けた連携の動きも見られる。安倍政権も「アジア・ゲートウェイ構想」でアジア諸国との連携強化を打ち出している。
圧倒的な中国経済のパワーに全世界の注目が集まっている中で、環日本海がその中心となっていく可能性がある。実際に北陸地方の輸出入貨物の貿易総額は2000年から2005年までの間で約1.4倍となっている。その主たる要因はアジア域内の貨物が急伸したことにある。まさに今、北陸はその地理的優位を活かしながら活力を高め、日本におけるアジアの玄関口(ゲートウェイ)となる絶好の機会を迎えている。
(図2)北陸地域における輸出入貨物の貿易総額
(出所:「貿易統計」財務省より作成)