国土学からみた北陸の地域づくり(下)

ネーミングライツ(命名権)を地域づくりにどう活用するか ネーミングライツの研究

アメリカを参考に
平成15年から日本でも導入開始

平成20年1月。新潟県は県道2路線の名前(通称)について命名権(ネーミングライツ)を導入するとして、4月から募集することを発表し、全国から大きな注目を集めた。対象となるのは魚沼市の「奥只見シルバーライン」と南魚沼市・十日町市の「魚沼スカイライン」の2路線。

新潟県の「道路名(通称名)のネーミングライツ」募集内容

(対象路線)
1. 奥只見シルバーライン(県道小出奥只見線の一部区間) 総延長22.6km
2. 魚沼スカイライン(県道田沢小栗山線) 総延長18.8km
(契約料)
1. 年額1,000万円以上を希望
2. 年額800万円以上を希望
※いずれも金額は消費税込み。
(契約期間)
いずれも10年以上を希望

(新潟県資料)

道路のネーミングライツ導入は、神奈川県箱根町にある有料道路「箱根ターンパイク」の命名権を東洋タイヤが5年契約で購入し、平成19年3月「TOYO TIRES(東洋タイヤ)ターンパイク」に名称変更されたのが唯一の例。ただしこれは私道なので、新潟県のネーミングライツが実現すれば公道では全国初の例となる。

スポーツや文化施設等の名前をつける権利(命名権 = ネーミングライツ)を企業に販売するというしくみが、ビジネスとして始まったのは、1970年代のアメリカとされている。

ニューヨーク州オーチャードパークに完成したアメリカンフットボールのスタジアム(NFLのバッファローヒルズの本拠地)の命名権が販売され、地元の食品会社「リッチ・フーズ社」が応募。企業名を冠した「リッチ・スタジアム」という名称が契約期間である25年間にわたって使用された。(契約終了後は別の名称に変更)

アメリカでは1970年〜80年代に、4大プロスポーツとよばれる野球、アメリカンフットボール、バスケットボール、アイスホッケーの本拠地施設でネーミングライツの導入が進み、最近ではおよそ7割の施設に企業名が冠せられているという。

日本の公共施設でネーミングライツが導入されたのは平成15年、東京都調布市にある「東京スタジアム」が最初。JリーグのFC東京と東京ヴェルディが本拠地とするサッカースタジアムで東京都の第3セクターが運営する施設だ。5年契約12億円で味の素が命名権を取得し、「味の素スタジアム」と名称を変更した。(契約は平成20年以降も延長されることが決まり、今回は6年14億円の契約で期間は延び金額も高くなっている。)

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