国土学からみた北陸の地域づくり(下)

ネーミングライツ(命名権)を地域づくりにどう活用するか ネーミングライツの研究

道路のネーミングライツは75%が賛成
「県内企業がスポンサーに」の期待も大きい

道路のネーミングライツ導入を決定するにあたって、新潟県は県民と県内の企業を対象にアンケート調査を実施している。(グラフ1)

グラフ1 住民のネーミングライツに関する意識

<ネーミングライツの認知>
(n = 295)

グラフ

<道路への通称名の導入について>
(n = 295)

グラフ

(新潟県資料より;平成19年調査)

住民調査の結果では、ネーミングライツについて「知っている」と答えたのは31.5%。「聞いたことはあるが内容はよくわからない」が23.7%、「知らなかった」が44.4%で、内容理解はまだ十分とはいえないようである。

しかし今回の県道の通称名にネーミングライツを導入することについては「賛成」が44.4%、「条件つき賛成」29.8%を合わせると4分の3近くが好意的に評価している。条件として多かったのは「県内企業がスポンサーになること」で54.5%に達した。やはり地元の企業へのこだわりはあるようだ。

ネーミングライツの契約金を道路の維持管理や新たな道路サービスに充てることについては住民も企業もともに賛意を示している。逆に言えば道路のような公共性の高い施設であっても、施設を快適に使用したり整備・拡充していくためには、民間企業の広告に使用することはかまわないという、社会的コンセンサスが形成されているといえるかもしれない。

逼迫する地方財政の中で、自治体の新たな収入を生み出す方策としてネーミングライツは確かに有効といえるだろう。多様化する最近の動向からみて、発想次第で様々な事象に導入が可能かもしれない。例えばバスの路線名や除雪車の名前、生涯学習や人材育成活動における冠講座など、施設だけでなく行政サービスにも展開が可能かもしれない。

しかし広島市民球場や大阪ドームの例にあるように、住民の施設や地名に対する愛着には大きなものがあることが多い。そうした住民の思いや意識をきちんと確認しながら、導入の理由やメリット・デメリット等をきちんと説明し合意を得ながら進めていくこと。また導入した成果を地域がきちんと評価することも欠かせない。 ネーミングライツは、企業や地域団体と行政の協働の方法でもある。これからの地域づくりへの活用が求められる。

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