国土構造の変化と地域づくり

地元の元気と格差是正は実現するか 「ふるさと納税制度」を読む

ひろがる地域間格差
北陸4県も税収・財源が減少

都市圏と地方圏の格差が広がっている。地方圏は人口の減少や地域産業の低迷で税収が伸び悩む一方で、東京や大阪、名古屋などの大都市圏は企業が集中していることもあって安定的に推移。この差が地域間格差となって現れている。

例えば1人あたりの都道府県税額でみると、平成7年度には全国平均( = 100)を上回る(または同水準)都道府県は12だったものが、平成17年度には9都府県に減少。東京都と愛知県が数値を大きく伸ばし、大都市を抱えていたり大都市周辺に位置する県以外は軒並全国平均を下回ったりしている。(図1)

図1 人口1人当たり都道府県税収額の比較(全国平均を100とした指数)

<平成7年度>
●全国平均を上回った都道府県 = 12
順位 都道府県 指標
1 東京都 167
2 愛知県 125
3 福井県 120
4 大阪府 113
5 静岡県 111
6 栃木県 106
7 滋賀県 105
8 石川県 104
9 富山県 102
10 群馬県 100
10 神奈川県 100
10 長野県 100
16 新潟県 96
<平成17年度>
●全国平均を上回った都道府県 = 9
順位 都道府県 指標
1 東京都 180
2 愛知県 128
3 静岡県 108
4 大阪府 106
5 栃木県 105
6 三重県 104
7 山梨県 101
8 茨城県 100
8 福井県 100
13 富山県 96
15 石川県 95
23 新潟県 89

(総務省資料)

北陸4県で見るとその動きは顕著で、平成7年度に新潟県以外の3県は全国平均を上回っていたものが、17年度には富山、石川の両県が全国平均以下に転落。福井県は全国平均に踏みとどまったものの新潟県とともに数値を大きく下げており、税収の伸び悩み傾向がはっきりと分かる。

同様に平成14年度と19年度の各都道府県の財源額(地方税と地方交付税等をあわせた基本財源の額)を比較してみると、財源額が増加していたのは東京都と愛知県のみで、他の45道府県は5年前に比べて財源額は減少していた。北陸4県では新潟県が664億円減少しているほか、富山、福井県が400億円以上、最も減少が少ない石川県でも381億円の減少だった。(図2)

図2 都道府県の財源額の動向

<平成14年度と19年度の比較>
●財源額が増加した都道府県 = 2
都道府県名 増減額(億円)
東京都 9,789
愛知県 2,392
北陸4県 新潟県 ▲664
富山県 ▲473
石川県 ▲381
福井県 ▲441

(北陸4県 計▲1,959億円)

※財源額 = 地方税+地方交付税等の合算額。

<平成19年度から20年度の見込み>
●財源額が増加する都道府県 = 7
都道府県名 増減額(億円)
東京都 1,672
愛知県 573
千葉県 53
神奈川県 42
三重県 25
埼玉県 15
栃木県 2
北陸4県 新潟県 ▲65
富山県 ▲38
石川県 ▲4
福井県 ▲25

(岩手県資料)

さらに平成19年度から20年度の財源額の見込みでは、増加すると見込まれるのは7都県。東京、愛知のほかは東京に隣接する千葉、神奈川、埼玉、栃木の各県と、愛知に隣接する三重となっている。東京、愛知に代表される大都市圏(及びその周辺県)が好調であるのに対して、地方圏は減少が続きその金額も大きいと見込まれる。

人口減少社会は地方圏から始まるともいわれており、このままではさらに地域間格差が広がることが予想される。

また税収や財源額が減れば行政サービスの低下や将来の地域づくりへの投資も縮小せざるを得なくなる。地方分権改革の流れにも影響が出てくる恐れもある。

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