報告書がまとめた制度のしくみについて例示したのが図3である。
図3 現在検討中の「ふるさと納税制度」のしくみ(例)
寄付金額が5,000円以下の場合には控除対象とならず自己負担となる。そのため東京に住むAさんが新潟県をふるさととして3万円を寄付(納税)した場合、5,000円分は控除や還付の対象とはならずAさんの負担となる。
残りの2万5,000円分については、まず現行の「寄付金控除制度」を利用(確定申告)すれば10%の2,500円が戻ってくる(還付される)。それを差し引いた2万2,500円については、現在住んでいる自治体の住民税から控除される。つまり今住んでいる自治体に納めるはずの住民税の一部を、寄付金という手法で「ふるさと」に移すというわけである。
ただし今住んでいる自治体に住民税を払わず全額をふるさとに、というわけにはいかない。様々な行政サービスを受けているのは住んでいる場所であり、受益者負担の原則からも現住地の住民税が優先されるべきとなる。そのため控除が認められるのは、住んでいる自治体(図の例の場合は東京都)に本来納めるべき住民税の1割までという規定がある。(控除はされないがふるさとへの寄付はそれを上回っても可能)
結果として納税者本人、国、現住地の自治体の3者が少しずつ負担して「ふるさと」を応援・支援するという、落語の「三方一両損」のような制度といえるだろう。