日本は再成長できる-成熟国の企業と地域戦略

北陸地方の建設業は今-データに見る経営環境と動向-

厳しい経営環境下ながら期待される建設業の再生

北陸地域の新設住宅着工戸数も低迷している。1990年代には6万戸あったものが次第に減少。2000年に入ってからは4万戸前後で推移してきたが、2007年度からは4万戸を切り3万5,000戸前後までに落ち込んだ。1990年前半に比べて、2008年度には新設住宅の着工数はほぼ半減している(図11)。公共部門の建設投資額の縮小、民間の新設住宅着工数の落ち込みなど、北陸地域の建設業を取り巻く環境には厳しいものがある。

図11 北陸地域の新設住宅着工戸数の推移

【出典】国土交通省「建築着工統計調査」

経営環境が厳しさを増す中で、建設業の倒産件数も2004年度以降じわじわと増加。2008年度には231件に達している。倒産件数の増加とともに、負債額も増加しており、2008年度には1,000億円を突破している(図12)。

図12 北陸地域の建設業の倒産件数

図13 北陸地域の建設業の倒産負債額

【出典】2006年度まで(独)中小企業基盤整備機構「企業倒産調査年報」、2007年度から㈳企業共済協会「企業倒産調査年報」

長引く不況はボディブローのように北陸の建設業の体力を奪っている。そしてそれは失業率の上昇や社会資本整備の遅れなど、北陸地域全体に様々な影響を及ぼしている。

しかし北陸地域の活性化や持続可能な成長に向けて、また目前の雇用問題に対応する意味からも、建設業の再生への期待は大きい。比率が低下しているとはいえ、就業人口の1割近くを占める建設業は、依然として北陸地域の基幹産業の一つである。また若干低下しているとはされるものの、建設業が生み出す経済波及効果には大きなものがある。

建設業が保有し、これまで蓄積してきたヒトや技術、知恵や機械、資材用の土地など、それらは大きな財産であり再生のための資源でもある。農林水産業との連携、観光・交流産業との連携、海外市場への展開など、建設業の再生への取り組みは各地で始まっている。

北陸地域の未来に向けて、多角化や新規分野への取り組みなど、建設業の再生へのさらなる取り組みを期待したい。

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