地域指標

雪国の活性化〜スキー場を核とした冬季活性化活動の展開(魚沼市をケーススタディとして)

2007.10

北陸建設経済研究会

2. スキー観光をめぐる動向

2.1 全国及び新潟県における動向

(1)ピーク時から半減。減少を続けるスキー人口(全国)

2005年のスキーヤー人口は750万人。スノーボーダー人口は520万人で、単純に合算すると1,270万人となる。2004年(スキーヤー760万人、スノーボーダー430万人)に比べてウィンタースポーツ人口は若干増加しているものの、スキー人口に限れば1993年の1,860万人をピークに、長期的な減少傾向が続いている。

グラフ

出典:「レジャー白書」(財)社会経済生産性本部

図1 スノースポーツ人口の推移

(2)新潟県のスキー場入り込み客数も減少が続く

新潟県のスキー場入り込み客数は1992年度の1,600万人をピークに、2005年は595万人にまで減少。全国のスキー人口の減少よりも早いスピードで入り込み客数が減少している。スキー人口そのものの減少とあわせ、レジャーの多様化による活動回数の減少も要因のひとつと考えられる。

グラフ

出典:「観光情報」新潟県観光振興課

図2 新潟県のスキー場入り込み客数の推移

(3)「東京に近い」ことが新潟県のスキー場の魅力

長野県や妙高エリアのスキー場に比べて、新潟県湯沢・塩沢エリアのスキー場は日帰り利用も可能で「近い」ことが、東京のスキー客に評価されている。

表1 スキー客の評価

居住地 /エリア 湯沢・塩沢 上信越
東京
  • 首都圏に近い。
  • 日帰りの場合は、リスクを冒さず関越トンネル手前のスキー場を利用。
  • 混んでいる。
  • 雪質が良い。
  • 場所がよく分からない。
新潟
  • 妙高に比べて雪質は落ちるが、コース、パーク等、毎シーズン変化があって魅力的である。
  • 地の利を活かした豪快なコースが魅力的
  • 泊まりで行くエリア。

出典:「新潟県スキー観光の活性化に向けて」新潟県

(4)競争激化や老朽化で休業・廃業が増加

市場の縮小に加えて、スキー場市場に大きな影響力を持つ西武グループの再編・戦略転換もあって、スキー場の休・廃業の動きが全国的に広がっており、新潟県においてもこの傾向は例外ではない。

新潟県内のスキー場の休・廃業動向

<廃業> <休業>
  • 安田町営(阿賀野市)
  • 川口(川口町)
  • アクシオム(魚沼市)
  • 悠久山(長岡市)
  • 白板高原(南魚沼市)
  • 土樽(南魚沼市)
  • あらい船岡山(妙高市)
  • スポーツコム浦佐国際(南魚沼市)
  • ファースト石打(南魚沼市)
  • ARAI(妙高市)
  • 妙高パノラマパーク(妙高市)
  • 小千谷山本山高原(小千谷市)
  • 古志高原(長岡市)
  • 二居(南魚沼市)
  • 三国(南魚沼市)
  • 小千谷(小千谷市)

※電話にて確認

(まとめ)

  • 国内におけるスキー人口の減少傾向は続いており、それに伴ってスキー観光市場も縮小している。
  • 縮小した市場の中で、スキー場の淘汰や競争激化の動きも始まっている。最近では、首都圏市場を狙って群馬県や福島県のスキー場が活発なPRを展開しており、関東圏の「新潟県よりも近くて空いている」という評価・イメージは新潟県にとって脅威となっている。

2.2 魚沼市スキー観光の現状

(1)魚沼市のスキー場はいずれも規模が小さい

魚沼市は、市町村合併により比較的小規模な6つのスキー場を持つこととなった。そのうち奥只見丸山スキー場は、民間経営であること、スキー場までの唯一のアクセスである奥只見シルバーラインが厳冬期は閉鎖してしまうため1月中旬から3月中旬まで営業しないなど、他のスキー場とは異なる性質を持っている。

よって本研究では、魚沼市が運営する5つのスキー場を対象として、分析・活性化プランの検討を行っていく。

表2 魚沼市のスキー場概要

スキー場名 所在地 経営主体 リフト数
須原スキー場 旧守門村 市営 4基
小出スキー場 旧小出町 市営 3基
関越国際大原スキー場 旧入広瀬村 市営 2基
湯之谷薬師スキー場 旧湯之谷村 市営 1基
大湯温泉スキー場 旧湯之谷村 市営 1基
奥只見丸山スキー場 旧湯之谷村 奥只見観光(株) 5基

(2)魚沼市スキー場の利用客は日帰り客が大多数、主な利用客は県内(魚沼市近隣)

魚沼市のスキー場利用客の特徴として、湯沢・塩沢エリアの大規模なスキー場が手前(首都圏より)にあるため、関東からのスキー客は少なく、県内の利用客が多いことがわかる。周辺に温泉宿泊施設があるものの、利用客が県内(魚沼市近隣)が多いため宿泊客は少なく、スキーを滑った後は、自宅に帰る傾向がある。なお、宿泊客の大半を占めるのは県外からのスキー教室の生徒である。

グラフ

※スキー場管理者へのヒアリングによる(図4〜6も同様)

図3 宿泊客と日帰り客の比率(H17年度)

グラフ

図4 利用客の出発地(県内外の比率)(H17年度)

(3)利用客の大半はファミリー層の家族連れになる

利用客が地域の人ということもあり、主な利用客層はファミリー(家族連れ)となっている。最近では親のスキー離れから、スキー場に子どもだけ残して帰ってしまう親もいるなどの傾向がヒアリングでわかった。これは、地域内の利用客が多いため、安心して子どもだけで遊ばせられることが背景にある。

グラフ

図5 主な利用客層の比率(H17年度)

5つのスキー場における主な利用客のプレースタイルはスキーが多いのが特徴である。須原スキー場については若者客が多いことから、若者に人気のボード客が他のスキー場より多いのが特徴である。

グラフ

図6 スキー客とボード客の比率(H17年度)

(4)魚沼市5つのスキー場はすべて赤字経営を続けている

平成16年の中越地震及び平成17年・18年と連続した豪雪の影響もあって、減少傾向にある。採算ベースとなる入り込み客数を満足している年はほとんどない。平成17年度については、魚沼市は1億円以上スキー場に補填している現状である。

表3 各スキー場の入り込み客数の推移

(単位:人)

スキー場名 17年度 16年度 15年度 14年度 13年度 採算ベース
須原スキー場 50,000 12,530 46,670 74,500 55,500 70,000
小出スキー場 17,710 14,360 16,310 23,460 23,590 30,000
関越国際大原スキー場 10,366 8,599 12,328 10,139 9,901 12,000
湯之谷薬師スキー場 14,936 13,978 12,196 14,546 14,732 20,000
大湯温泉スキー場 4,100 3,900 4,450 5,250 5,850 8,000
合計 97,112 53,367 91,954 127,895 109,573 140,000

※採算ベースはスキー場管理者への聞き取り調査による。

(4)須原スキー場を除いて、平日の利用客は少ない。

各スキー場の日別ごとの入り込み客数は須原を除いては経営できる入り込み客数ではない。ちなみに、湯之谷薬師においては毎週水曜日の隣接施設「ゆ〜パーク薬師(日帰り温泉施設)」の休業日に合わせてスキー場も休業としている。

表4 各スキー場の平日及び土・日・祝日の入り込み客数

スキー場名 平日 土・日・祝日
須原スキー場 400人程度 700人程度
小出スキー場 5〜6人程度 300人程度
関越国際大原スキー場 10人程度 200人程度
湯之谷薬師スキー場 30〜40人程度 150人程度
大湯温泉スキー場 40〜50人程度 150人程度

(スキー場管理者へのヒアリングによる)

(まとめ)

  • 魚沼市のスキー場(奥只見丸山スキー場を除く5カ所のスキー場)は、いずれも規模が小さく、利用客の多くが近隣からの日帰り客。南魚沼市のスキー場のような、宿泊を伴うスキー観光とはなっていない
  • 5つの中では、須原スキー場が魚沼市のスキー客の半数(年間5万人前後)を占め拠点となっている。次いで、小出、大原スキー場が年間1.5〜2万人を集客しているものの、いずれのスキー場ともに採算ベースには達していない

ページの先頭に戻る

北陸の視座バックナンバー