国土学からみた北陸の地域づくり(上)

北陸の脆弱性と厳しい自然条件を検証する

自然災害が多発している北陸地域

平成19(2007)年は、3月に能登半島地震(マグニチュード6.9)、7月に中越沖地震(マグニチュード6.8)と2つの大きな地震が北陸地方を襲った。3年前(2004年)の中越地震(マグニチュード6.8)はまだ記憶に新しいところであり、頻発する地震災害は北陸を地震が起こりやすい地域として全国に印象づけたことは否めない。

日本列島は4つのプレートが接する場所に位置することから、世界的にみて地震が発生しやすい国であり、歴史的にみても北陸に限らず全国で繰り返し地震災害が発生している。北陸地方でも、古くは9世紀の「越中・越後地震」にはじまり、江戸時代末期の「飛越地震」(立山連峰の大鳶山、小鳶山という2つの山が崩落、大きな被害を富山にもたらした地震)などの地震が発生。第2次世界大戦後には、福井地震、新潟地震という大きな都市型地震をはじめ、今回の中越地震(中山間地の被災)、能登半島地震(半島地域の被災)、中越沖地震(地方都市)と、大きな被災が相次いでいる。

日本では1946年以降、震度6以上の地震が58回発生しているが、北陸地方はそのうち9回を占め、北海道(11回)、東北地方(太平洋側9回、日本海側1回、計10回)と並ぶ被災地となっている。

北陸地方は地震災害だけでなく、豪雨や台風、河川氾らん等による水害も多発。およそ20年ごとに大きな豪雪による雪害にも襲われている。(図1)

図1 北陸地方の自然災害

<主な地震>
発生年 地震名 規模 被害状況
1948年 福井地震 M7.1 福井市は家屋の全壊率が80%を越えほとんど壊滅状態。死者3,769人
1952年 大聖寺沖地震 M6.5 石川県西岸沖で発生。死者7人
1961年 長岡地震 M5.2 長岡で震度5強を記録、死者5名、損失家屋676戸
北美濃地震 M7.0 岐阜で被害、死者8人
1964年 新潟地震 M7.5 死者26人、損失家屋2,250戸
1984年 長野県西部地震 M6.8 御岳山の山崩れによる土石流で29人死亡
1993年 能登半島沖地震 M6.6 負傷者30人
2004年 新潟県中越地震 M6.8 家屋倒壊などの直接死16人(関連死を含めると死者は68人)、住宅被害120,837戸
2007年 能登半島地震 M6.9 死者1人、負傷者359人
新潟県中越沖地震 M6.8 死者11人、負傷者2,314人
<主な水害>
発生年 水害名 被害状況
1959年 伊勢湾台風 福島などでも被害、死者不明者5,098人
1961年 集中豪雨 新潟・白根市を中心に被害。死者1人、重軽傷者40人、2,250戸が被害
1964年 山陰北陸豪雨 死者不明者128人
1967年 羽越水害 新潟・山形の荒川流域で起こった水害。新潟県の死者行方不明者は134人
1995年 平成7年7.11水害 関川・姫川が氾濫。行方不明1人、家屋全壊45戸
1996年 梅雨前線 信越地方を中心に被害、死者不明者5人
1998年 新潟・下越集中豪雨災害 8.4水害。新潟県下越地方・佐渡地方を中心に、死者1名、家屋全壊3棟。
台風4号 栃木から福島にかけて被害、死者不明者22人
2004年 平成16年7月新潟・福島豪雨 6河川11箇所で堤防決壊、死者16人、家屋全壊70棟
福井豪雨 死者不明者5人
<主な雪害>
発生年 雪害名 被害状況
1963年 三八豪雪 戦後最大の雪害。長岡市で318cmの積雪を記録。死者228人、行方不明3人、家屋全壊753棟、半壊982棟
1981年 五六豪雪 北陸・岐阜・福島などで被害、死者133人、不明者19人
1984年 五九豪雪 東北、北陸、山陰で被害。死者131人
2006年 平成18年豪雪 新潟、福井、秋田などで被害。全国で死者152人、負傷者は2,100人を越えた。

(出典:消防庁ホームページ、気象庁ホームページ、新潟県ホームページ、北陸地方整備局ホームページなどをもとに編集部作成)

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