国土学からみた北陸の地域づくり(上)

北陸の脆弱性と厳しい自然条件を検証する

わずか50〜60kmで山頂から海岸へ

日本列島のほぼ中央に位置する日本アルプス。それは分水嶺の役目を果たし、日本を太平洋側と日本海側に分断する役割を果たしている。しかし、その脊梁山脈の位置は中央ではなく、やや日本海側の方に片寄っている。

例えば新潟県と関東地方を分けている三国山脈の谷川岳(標高1,977m)から柏崎港までは直線距離でわずか67.6kmで、平均斜度は2.9%。一方、谷川岳から東京湾までは156.2kmなので平均斜度は1.3%となり、日本海側に比べてとても傾斜が緩やかであることがわかる。(図2)

図2 山地から海岸までの距離

図

日本海側の都市は海岸沿いにひろがっているが、どの都市もわずか5〜60kmで標高2,000〜3,000m級の高山に達する。つまり、海から緩やかな傾斜の平野が広がるがすぐに終わり、そこからは急斜面の山地が続くという地形が、北陸に共通する地形だといえる。

谷川岳から新潟港までの平均斜度は1.6%と緩やかだが、立山—富山は5.7%、白山—金沢は5.2%、能郷白山—福井は2.7%といずれも傾斜は急であり、そこを流れる河川は急流河川となる。富士川(長野・山梨・静岡)や最上川(山形)は急流として知られるが、北陸を流れる河川の多くは富士川や最上川よりも急勾配で流れている。高い山頂から海までを短い距離で一気に流れる川は、おのずと急流にならざるを得ない。図3をみると、以下に北陸の河川がいかに急流であるかがわかる。

図3 北陸地方の主要河川の勾配

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川が急流であること、それは流水や氾らんが発生しやすいということであり、水害が起こりやすいということなのだ。

急峻な山では地すべりが起こりやすく、雨や雪解け水による土石流も発生しやすくなる。北陸地方には約1,620カ所の地すべり危険箇所が残っており、それは全国の14%を占める多さである。(図4)これに対応して湯沢砂防、立山砂防、白山砂防と、北陸地方では明治時代から砂防事業が行われ、山上での土砂との闘いによって、中下流のまちや暮らしを守り続けている。こうした砂防の取り組みは、脆弱な地形を持つ北陸地方には欠かせない国土への働きかけである。

図4 北陸の土砂災害危険個所数
  土石流危険渓流(※1) 地すべり危険箇所数(※2) 急傾斜地崩壊危険箇所数(※3)
新潟県 3,945 860 3,986
富山県 1,430 194 2,835
石川県 2,002 420 1,841
福井県 3,111 146 3,601
北陸圏合計 10,488 1,620 12,263
全国合計 183,863 11,288 330,156

※1)平成14年度公表、※2)平成10年度公表、※3)平成14年度公表。

(出典:北陸地方整備局資料)

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