国土形成計画とこれからの地域づくり

データにみる北陸ブロック

地域の声にみる「北陸」ブロック

国土交通省では、広域地方計画の圏域設置にあたって、様々な分析や調査を実施している。その中に、各県の住民に対して自県と一緒に地方ブロックを形成する時の、結びつきの強い相手県をたずねたアンケート調査がある。北陸4県の住民に聞いた結果をまとめてみると図4のようになった(回答者は各県100人)。

図4 住民アンケート調査にみる4県の結びつき意識

1. 自県との組み合わせに登録した県各ランキング(上位5県)

表の見方
新潟県の住民は地域ブロックを形成する際の組み合わせとして、富山県をあげる人が最も多く(100人中57人)、次いで「群馬」「長野」の順となっている。同様に富山県では「石川県」との結びつきをあげる人が100人中97人でトップとなっている。(組み合わせの相手県は複数あげてもらった)
新潟県
順位 県名 件数
1 富山 57
2 群馬 56
3 長野 55
4 福島 38
5 石川 26

(福井 11)

富山県
順位 県名 件数
1 石川 97
2 福井 61
3 岐阜 37
4 新潟 30
5 長野 24
石川県
順位 県名 件数
1 富山 95
2 福井 91
3 新潟 20
4 岐阜 18
5 滋賀 9
福井県
順位 県名 件数
1 石川 88
2 富山 53
3 滋賀 52
4 京都 39
5 岐阜 21

(新潟 1)

2. 組み合わせパターン(上位2パターン)

  1位 2位
新潟県 新潟、富山、石川(6) 新潟、群馬、長野、富山(6)
富山県 富山、石川、福井(31) 富山、石川(14)
石川県 富山、石川、福井(59) 新潟、富山、石川、福井(9)
福井県 富山、石川、福井(34) 石川、福井、滋賀、京都(10)

(国土交通省調査、H17年)

新潟県の住民は、富山県をあげる人が57人いるが、2位は群馬、3位長野と続き、石川は5位で26人、福井は11人で上位5位に入っていない。ただし福井県の住民も、石川、富山の両県は上位だが、新潟と答えた人は1人だけで、この両県はやや距離感を感じているようだ。

一方、富山・石川の両県は、新潟県をあげる人は若干少なくなるものの、新潟、福井を含めた4県の関係を意識しているようである。しかし、具体的な組み合わせパターンでは、4県の組み合わせが上位となったのは、石川県の2位(9人)だけにとどまっている。

富山・石川・福井の3県住民が最も支持したのは、3県の組み合わせであり、他の組み合わせを大きく引き離して支持されている。一方で、新潟県では様々な組み合わせがあげられ、明確な方向は見られない。

同じ調査では、住民ではなく各県(自治体)にも複数の組み合わせ案を提示して意見を聴取している。その結果を見ると、やはり住民アンケートと同様に富山・石川・福井の3県は新潟との関係を意識しつつも、「北陸3県」案を支持。一方新潟県は、北陸4県案について近しい関係、自然条件の類似性を認めているものの、4県で北陸としてまとまることを選択せず、関東や東北等とも自由に連携するようなポジションを選択したいと回答している(図5)。

図5 広域ブロックに対する4県の意見

  北陸4県に対する意見 北陸3県に対する意見
富山県
  • 気候風土等は一定の類似性がある。また、日本海国土軸を具現化するための中心的な区域として、北陸3県よりも大括りの区域とすることも一つの考え方である。
  • しかし、住民意識や社会経済活動上の関連性等は、北陸3県と比較した場合、希薄な面がある。
  • 気候風土等の類似性が高く、歴史・文化等共通の基盤を有し、これまでも活発な交流の実績がある。住民意識の面からも円滑な計画策定が可能な区域と考えられる。
  • 近年、隣接各県(新潟、岐阜、長野)との交流・連携も活発化しており、北陸新幹線、東海北陸自動車道等の高速交通体系整備により首都圏、中京圏との繋がりもより深まるものと考えられる。
  • したがって、北陸3県を計画区域とする場合でも、こうした他の区域との連携に十分配慮する必要がある。
石川県
  • 北陸3県が適当。
  • 過去から今日に至るまでの自然、経済、社会、歴史・文化等における密接な関係や、恒常的に人、物、情報が交流することにより自ずから適切な交流の範囲が形成されることを勘案すると、石川県を含む広域地方計画区域の範囲としては北陸3県が適当。
福井県
  • 自然条件での類似性が認められ、雪対策など国土政策上の共通の課題も多いが、東西に長い区域となるため、北陸3県という圏域と比べると、社会経済活動上の関連性が希薄となり、住民の意向ともずれが見られると考える。
  • 北陸3県が適当。
  • 北陸3県は、自然、歴史、文化、経済等での密接なつながりがあり、これまでも北陸地方開発促進計画の枠組みの中で、北陸新幹線や高規格幹線道路等の社会基盤整備に共に取り組んできた。広域地方計画の区域についても、この枠組みを基本とすべき。
新潟県
  • 社会資本整備や災害、農業などの分野において密接な関係がある。
  • 気候や自然条件で4県には類似性があり、土木や災害、農政などで共通の課題を有していることから、自然災害の克服に向けた社会資本整備や我が国の農業振興において圏域一体となった取り組みが可能である。
  • 2014年の北陸新幹線の金沢開業に伴って、北陸3県に新潟県および長野県を加えた圏域の一体性が高まると期待される。
 
  • 新潟県は、隣接のいずれの圏域とも密接な関係があるため、提案のあったいずれの案も選択できない。
  • これまで要望してきたとおり、隣接の複数の圏域に対等な立場で属すことができるよう要望する。

(国土交通省資料より作成)

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