連携を促すインフラがこれからの北陸地方にとって重要であり、必要なインフラといえる。そして道路もその重要なインフラの一つだ。
道路の本質とは「ネットワーク機能」と「空間機能」だ。ネットワーク機能とは地域と地域を結ぶ、交流や役割分担を促すといった機能。空間機能とはライフライン(電気や水道、ガス等)の収納や緑を供給する環境空間、コミュニティ形成を促すといった機能である。
道路のネットワーク機能がもたらす効果には次の2つがある。これらはまさに連携が生み出す効果と同じものであり、道路が連携を促すインフラであることを示すものだ。
ここで一つネットワークや連携と道路の関係に関して、環状道路の意義について紹介したい。
下図のようにA〜Fまでの6つの地点があり、パターン1のように環状道路がなく放射状の道路だけで結ばれている場合に、例えばAからFに行くには1つのルートしかない。
図7 環状道路の意義
(大石作成資料)
パターン3のように環状道路が完成しネットワークが形成されると、AからFに行くルートは17通りとなる。選択肢が広がり、交通は分散する。
ところがパターン2のように整備は進んだが1箇所だけつながっていない時、AからFへのルートは6通りしかない。リングが少し欠けただけなのに、11の選択肢(ルート)が利用できないということだ。E-F間はAからFに行くのに一見何の関係もない地点だが、ここが結ばれることで11の可能性が現実のものとなる。
道路とはこのようにつながることで大きな役割と効果を生み出すものであり、どこか1箇所が切れていてもその効果は大きく低下してしまう。これからの北陸の戦略として、北陸内外での地域間連携を進める際に、こうした道路のネットワーク特性や効果が参考になるだろう。