日本は再成長できる-成熟国の企業と地域戦略

北陸地域の元気は回復するか-「建設業と地域の元気回復助成事業」を分析する-

建設業の保有資源を「元気回復」に活用

建設業をはじめ地域産業・経済の低迷が続くなか、官民あげて様々な取り組みが始まっている。2009(平成21)年にスタートした「建設業と地域の元気回復助成事業」もその一つだ。

この事業は、建設業の持つ人材、機材、ノウハウ等を活用して、地域の農林業や環境、福祉、観光等の異業種産業との連携を支援し、建設業と地域の活性化(=元気回復)を目的とするもの。問題意識を共有した建設業団体や自治体、各種事業者等の地域関係者が協議会を構成し、連携しながら地域活性化に資する事業の検討や立ち上げ、試行的な取り組みを支援する。(図1)

図1 建設業と地方の元気回復助成事業の概要

1. 趣旨

地域の建設業は、地域経済や雇用のそれぞれ約1割を担う基幹産業であるものの、建設投資の減少、価格競争の激化、景気の悪化など、地域の建設業を取り巻く経営環境はかつてない厳しい状況となっているとともに、地域経済も厳しい状況となっている。

こうした状況の中、建設業の保有する人材、機材、ノウハウ等を活用し農業、林業、福祉、環境、観光等の異業種との連携により、地域づくりの担い手である建設業の活力の再生、雇用の維持・拡大や地域の活性化を図ることが求められている。

このため、地域における問題意識を共有した上で、建設業団体や地方公共団体などの地域関係者が協議会を構成し、地域の合意形成等を促進しながら、異業種との連携等による地域活性化に資する事業の立ち上げを支援する。

2. 事業実施主体

建設産業団体、地方公共団体等からなる協議会(単独の建設企業は助成の対象外)

3. 助成の対象となる事業

事業実施主体である協議会が行う検討、計画策定、人材育成、広報、連携事業の試行的実施等の活動全般。地域の建設業が、その保有する人材や機材、ノウハウ等を活用し、異業種の団体や地方公共団体と連携をすることで、建設業の活力の再生、雇用の維持・拡大や地域の活性化に資するものを対象とする。

第1次募集 第2次募集
公募期間 平成21年3月26日〜5月25日 平成21年9月1日〜9月30日
選定結果公表日 平成21年6月25日 平成21年12月4日
事業実施期間 平成23年2月10日までの任意の期間
1件あたり助成金(上限) 2500万円 2000万円

(国土交通省資料等をもとに作成)

支援の対象となる事業は、建設業の活力の再生、雇用の維持・拡大や地域の活性化に資するもので、連携する分野として次のような例が示されている。

1. 農業分野
建設機材を活用して耕作放棄地を整備し、地域の気候や風土にあった高付加価値の農作物を栽培し、農協等との連携により市場開拓を検討。
2. 林業分野
3. 森林組合との連携により、効率的な間伐を進める上で必要となる路網整備の進め方や、間伐材の利用促進方策を検討。
3. 観光関連分野
観光協会との連携により、建設業の人材を活用して新たに発掘した地域の観光資源の効果的な案内方策を検討。
4. 環境・エネルギー・リサイクル関連分野
地場産業から多く発生する廃棄物について、建設業の技術を活用した有効利用方策を検討。
5. 福祉・介護関連分野
建設企業の保有する社屋等の遊休施設を活用し、地域のきめ細やかなニーズに対応した介護施設の運営方策を検討。

協議会を組織して地域内の産業連携を促しながら、新規事業開拓や起業を促すという、新しい支援手法として注目を集め、1次募集(公募期間:平成21年3月〜5月)では全国から240件の応募があり104件が選定。2次募集(公募期間:平成21年9月)では188件の応募の中から53件、計157件の事業が選定され、各地で事業が行われている。

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