建設業と地域の元気回復助成事業の背景には、建設投資の減少や景気低迷など建設業を取り巻く経営環境が厳しさを増す中で、新分野への進出によって多角化や業態転換を促し、建設業の活性化や再生を図ることが課題となっている。
これに対応して、政府は1990年代後半から、建設業の新分野進出の支援を始めている。当時は、建設業に関係の深いリフォーム・メンテナンス、バリアフリー関連や、IT・情報産業、環境ビジネスにおけるインフラ分野など、いずれも成長分野と見なされていた分野に注目。これらの分野への進出を目指す建設業者からの相談受付や、取組み事例の紹介が支援の中心だった。
その後建設不況が続く中、小泉内閣の構造改革・規制緩和政策によって新分野への進出を支援、促進する動きが一段と強まった。
2003年には、建設業の農業分野への進出事例が国土交通省の「地域における建設産業再生のための先導的・革新的モデル事業」として取り上げられた。2004年には、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、環境省、国土交通省を構成員とした「建設業の新分野進出を促進するための関係省連携会議」が設置された。
さらに「経済財政運営と構造改革に関する基本方針」(「骨太の改革2004」)の中で、規制緩和や制度の見直し、構造改革特区の活用による省庁間の連携が必要な事例として、建設業の新分野進出が示された。これに伴い5省の連名による「建設業の新分野進出支援策」が公表された。(図2)
図2 建設業の新分野進出支援策で取り上げられた8つのカテゴリー
具体的な施策としては、モデル事業の選定による事業資金の補助や、新分野進出に向けた取組みに対する税制上の支援などで、先導的な事業の普及を図ることが中心となっていた。