日本は再成長できる-成熟国の企業と地域戦略

北陸地域の元気は回復するか-「建設業と地域の元気回復助成事業」を分析する-

観光、農業分野が多数を占める
北陸地域からは19件が選定

こうした取り組みを一歩進めて、建設業の新分野進出と地域全体の活性化を同時にめざしているのが、「建設業と地域の元気回復助成事業」である。建設業と他産業とのWIN-WINの連携を進め、地域の資源を活用した事業開発や、新たな産業興しにつながる取り組みを支援するという、建設業にとどまらない地域活性化への視点が明確に示されているのが大きな特色となっている。  1次2次を合わせた全体では157事業が選出されているが、北陸地域(北陸4県)からは19件が選定された。都道府県別では、新潟県が8件で、北海道(11件)に次いで2番目に多く選定されている。また富山県が7位の6件、石川県が15位の4件と、全国的にも選定件数が多い地域となっている。(図3)

図3 地域別事業選定数

地域 1次募集 2次募集 事業計
北海道 5 6 11
東北 18 7 25
関東 17 10 27
北陸 14 5 19
  新潟県 5 3 8
富山県 5 1 6
石川県 3 1 4
福井県 1 0 1
中部 9 7 16
近畿 7 4 11
中国 8 2 10
四国 11 4 15
九州・沖縄 15 8 23
104 53 157

(国土交通省公表資料より作成)

注)国土交通省公表資料では福井県は近畿に区分されている。

選定された事業を分野別に見ると、「観光」が最も多く42件で4分の1(27%)を占める。次いで「農業」(36件、23%)、「林業」(29件、18%)、「環境・エネルギー」(26件、17%)と続いている。(図4)

図4 分野別選定数

分野 選定件数
農業 36 23%
林業 29 18%
水産業 9 6%
観光 42 27%
環境・エネルギー 26 17%
福祉 1 1%
その他 14 9%

(国土交通省資料)

国土交通省の公表資料では各事業を1分野に区分しているが、選定された事業は農業と観光、林業と環境・エネルギーなど、複数の分野にまたがるものも多い。

例えば青森県の「グリーンニューディル・つがる」事業協議会は、津軽半島の道の駅を拠点にしたルート整備やツアー開発による観光活性化をめざしている。ルート整備にあたって、サイクリングやウォーキングルートやハイブリッドカーの導入、規格外農産品を活用した新特産開発など、環境・リサイクルや農業分野との連携を視野に入れている。

複数分野にまたがる事業では、放置竹林や間伐材の農業肥料や土壌改良材への転用、野菜や果樹の廃果、食品等の廃棄物等を活用したバイオマス事業など、リサイクル型の事業が多く選定されている。

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