日本は再成長できる-成熟国の企業と地域戦略

北陸地域の元気は回復するか-「建設業と地域の元気回復助成事業」を分析する-

北陸地域の選定事業
観光分野が7事業

北陸地域で選定された19事業でも「観光」が7事業と最も多数を占めた。次いで「農業」4件、以下「水産業」「林業」「環境」「その他」が各2件となっている。(図5)

図5 北陸地域の選定事業

事業名 協議会名 分野
新潟県 建設業と地域の連携で築く新米沢街道の再生事業 関川新米沢街道検討協議会 観光
山古志・越路地区の観光事業の展開及び新商品開発 山古志・越路地区活性化協議会 観光
「魚沼から行く尾瀬ルート」を活用した交流人口拡大による地域活性化 尾瀬・魚沼ルート活性化協議会 観光
イチジク生産による新市場の創生と建設業態の多角性の創造事業 新潟県イチジク生産促進協議会 農業
村上元気回復・茶レンジ事業〜伝統産業「村上茶」再生による地域産業の活性化〜 村上茶活性化協議会 農業
トキの島が育む「海の幸」活用事業 佐渡市漁業資源流通活性化協議会 水産業
地元麦酒粕をリサイクルし発酵処理による飼料原料と堆肥製造による差別化の家畜生産や有機野菜への生産促進事業 新潟市西蒲区元気創生協議会 環境
遊休地を活用した複合レジャー施設整備による地域活性化 遊休地活用による地域活性化協議会 その他
富山県 となみ散居村空き家利活用に関する事業 となみ散居空き家利活用協議会 観光
手づくりの土産品復活等による大岩地区活性化事業 大岩地区観光活性化協議会 観光
和漢薬の里ヘルスツーリズム事業 和漢薬の里ヘルスツーリズム推進協議会 観光
梨生産農家との連携による「呉羽梨」再生ビジネス事業 呉羽梨生産地域活性化協議会 農業
森林の間伐材の活用促進事業 新川地域間伐材活用協議会 林業
低炭素社会型観光まちづくりに関する事業 黒部・宇奈月温泉観光活性化協議会 環境
石川県 古湯復活!山代温泉「湯の曲輪」賑わい創出事業 山代温泉再生協議会 観光
小規模耕地での竹チップ活用による防草と糖度アップの雑穀(そば、小豆、サツマイモなど)生産および加工品の開発販売事業 半島先端の小規模耕地を天恵にする協議会 農業
手取めぐみの森再生事業〜ゲレンデ跡地の再生計画〜 白山ろく森づくり協議会 林業
天然岩牡蠣のブランド化事業 羽咋市「海彦計画」推進協議会 水産業
福井県 「福井の家」の開発とネットワークづくり及び情報提供システムに関する事業 福井の家ネットワーク及び情報提供システム協議会 その他

(国土交通省資料)

観光分野では、各地域ともにそれぞれの地域の資源を見定め、時代のニーズに合わせた活用をめざしている。

魅力ある自然や景観を資源として活用しようという事業では、ルート整備や体験交流プログラムを開発。その整備やガイド役などに建設業の技術や人材との連携を図ろうとしている。また歴史資源の活用では、建設業と連携してかつての街道やまちなみを再生し、観光客の獲得をめざすという取り組みが進められている。

このほか、ホンモロコやアユの養殖場を観光スポットにするという水産資源との連携(山古志・越路地区活性化協議会、新潟)や、伝統産業である和漢薬を軸にヘルスケア(健康維持や予防医学)を観光に結びつけようという試み(和漢薬の里ヘルスツーリズム推進協議会、富山)などもある。以下に主な事例を紹介する。

◆尾瀬・魚沼ルート活性化協議会(新潟)

日本の自然・環境保護運動の象徴ともいえる「尾瀬」。その玄関口の一つである魚沼の観光施設や体験プログラムの整備を進め、尾瀬と一体となった観光ルートを形成・PR。交流人口の拡大と経済効果を生みだす。(自然資源の活用)

◆関川新米沢街道検討協議会(新潟)

新潟(新発田、村上)から小国を抜け米沢に至る米沢街道(越後米沢街道とも呼ばれる)は、16世紀の初めに整備され、人や物資が行き交い賑わった。街道沿いの関川村を中心に、歴史的まちなみ空間の再生などの整備を行い、回遊性のある「新米沢街道」として観光客を呼びこむ。(歴史資源の活用)

◆となみ散居村空き家利活用協議会(富山)

後継者が都市部に移住し空き家が増えるなど、砺波平野の歴史的文化財である散居村景観の保全が大きな課題となりつつある。空き家を活用した民泊事業を検討し、景観の保全と観光交流人口の拡大、さらに移住者の獲得をめざす。(景観資源の活用)

◆山代温泉再生協議会(石川)

山代温泉にはかつて「総湯(そうゆ)」と呼ばれる共同浴場を、旅館などが取り囲むように「湯の曲輪(ゆのがわ)」というまちなみが形成され、大いに賑わった。この総湯と湯の曲輪を現代に再生し、にぎわいの回復を図る。(歴史・景観資源の活用)

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