国土形成計画とこれからの地域づくり

新しい国土計画のポイントは地域振興/東アジアとの連携や新たな政策手段の開発で北陸地方の活性化を促す計画づくりに期待する

大西 隆(東京大学教授、工学博士)

広域地方計画における圏域(ブロック)と北陸

今回は地方(ブロック)の計画も国土形成計画法のもとで策定するということで、各ブロックごとに自治体や経済団体、国の地方支分局などを構成メンバーとする「広域地方計画協議会」が設けられ、策定の準備が進んでいる。

よく指摘されるように、日本のブロック圏域というのは相当なポテンシャルを持っており、面積や人口、GDPなどはアジアやヨーロッパ等の一国に匹敵する。したがって、広域地方計画は、国内の地方(ブロック)計画ではあるが、その規模や影響力は国の計画と変わらないものといえる。

国土審議会の中に圏域部会が発足したのは平成17(2005)年10月。以降、およそ8ヵ月にわたる検討によって、全国を8つの圏域(北海道、沖縄を除く)とする計画区域が設定され、7月には政省令が制定された。

この計画区域では、新潟県は東北圏に配置され、北陸圏は富山、石川、福井の3県で構成する全国最小の圏域と定められた。この決定に先立って全国の知事にいくつかの区域案を示して意見聴取を行ったが、結果的にはこれまでの国土計画のブロック区分を踏襲する形となっている。

(図3)広域地方計画の区域

地図:区域
圏域 都道府県
1. 首都圏 埼玉県、東京都、神奈川県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県、山梨県
2. 近畿圏 京都府、大阪府、兵庫県、滋賀県、奈良県及び和歌山県
3. 中部圏 愛知県、三重県、長野県、岐阜県及び静岡県
4. 東北圏 青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、新潟県
5. 北陸圏 富山県、石川県、福井県
6. 中国圏 鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県
7. 四国圏 徳島県、香川県、愛媛県、高知県
8. 九州圏 福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県

(出所:国土交通省資料より編集部が作成)

この区域案が決定するまでには様々な議論があったようで、一時は全国6圏域という案が有力になったともいわれている。これは太平洋側と日本海側を一つの圏域にまとめようという考え方で、1.東北、2.関東、3.中部、4.近畿、5.中国・四国、6.九州、の6つのブロックという案だ。この案では新潟県は関東圏、富山・石川・福井の3県は中部圏ということになる。新潟県についてはこの他にも北陸圏に位置づける案も示されており、全国で最も揺れ動いた県だといわれている。

ただし、今回の計画では、隣接するブロックや県間の連携も重視されており、新潟県は北陸圏と隣接するため、北陸圏の協議会に参加し、広域連携の観点から計画策定に参加できる仕組みとなっている。

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