広域地方計画において、県や市町村の計画とは違う広域計画らしさをどこで出すのかということは、悩ましい問題である。道州制が実現していない段階で、実現可能な広域計画や事業を考えるのはなかなか難しい。また広域の特色が何になるのかということも織り込みながら、様々な点に照準を合わせながら計画を策定していく必要がある。
加えて社会資本整備だけでなく、産業政策や交流人口の拡大なども視野に入れる必要があるし、国や自治体といった行政機関だけでなく、経済団体やNPO、大学等の研究機関等の多様な主体との協力・連携も欠かせない。基盤整備だけではない誘導やネットワーク形成などのソフト型の政策が求められている。
北陸でいえば、北陸全体の活性化という点から日本海の対岸地域との関係をどういうふうに促進していくのかが、広域地方計画の大きなテーマとなる。新潟を含めて北陸地方には港や空港が複数整備され、中国やロシア、朝鮮半島等の貿易や交流が行なわれている。そうした社会資本や実績を活かして、役割分担や産業機能について考えていく。またそれに対応した産業政策についても検討し、計画に反映して行く必要があるだろう。
北陸地方は港湾や空港、高速道路が比較的早く整備され、基盤は揃っているもののインフラ同士の連携が悪いということがしばしば指摘される。今後、北陸新幹線や東海北陸自動車道等の整備が予定されているが、今後は基盤の使い方や活用方策についても検討していく必要があるのではないだろいうか。インフラを使う人を増やすことが産業振興に結びつくはずである。
雪も北陸には欠かせない地域づくりのテーマだろうが、単なる雪対策ではなく、豪雪時に集落をどうしていくか、安全性を保てるようなコミュニティというのはどうあるべきかといった、地域防災力の向上という観点からの計画づくりが重要になるのではないか。さらにコミュニティの再編ということも含めて、防災と過疎問題を絡めて考えていく必要があると思う。全国計画の中では雪に関する記述はほとんどない。その部分は北陸の計画にぜひ期待したいところだ。