国土形成計画とこれからの地域づくり

新しい国土計画のポイントは地域振興/東アジアとの連携や新たな政策手段の開発で北陸地方の活性化を促す計画づくりに期待する

大西 隆(東京大学教授、工学博士)

広域地方計画と道州制 地域づくりをどう進めるか

地方(ブロック)の戦略や目標に対応した個性的な地域づくりを進め、結果として多様な特色を持った圏域が一つの国土を形成するという、今回の広域地方計画の考え方には賛同できるところは多い。しかし、一方で課題も多い。特に大きな課題となるのは、広域的な計画をしっかりと策定し、実現していくための「(地方)政府」がないということだ。

これまでのブロック計画に関していえばあまりうまく機能をしているものはないように思う。広域行政にふさわしいテーマであっても、各県それぞれに行政目標や課題、重点戦略というものを持っているので、基本的にはそれを主張することになる。他県にゆずるということができにくい。ギリギリまで議論するとまとまらないので、利害調整を行い、まとまるところでまとめておこうということになる。これではどうしても実効的な計画は生まれにくくなる。

圏域一体となった経済政策、広域交通体系の整備など、県を超える広域行政あるいは地域づくりを進めるには、やはりそれにふさわしい行政力や財源を持った「政府」が必要となる。選挙等を通じて住民に支持されているというバックグランドがあればもっとよい。つまり「道州制」の考え方である。

圏域部会が区域の検討を行っていた時期に、内閣府の地方制度調査会が道州制の区域案として3通りの案を提示した。9道州制、11道州制、13道州制の3つだが、この中では北陸は新潟を含む4県の案と新潟を除く3県のケースがある。一方、新潟県は北陸又は関東に入るという案が示されており、東北ブロックに所属するという案はみられず、広域地方計画の圏域とは異なっている。

道州制については大きな方向性としては合意形成が進んでいるものの、区域や役割、県をはじめとする現在の自治体との関係など、まだまだ議論が続いている状況にある。しかし、広域交通や産業・経済政策、高等教育など、広域的な取り組みが有効かつ必要な行政分野は多く、今後の日本の国の形、あり方を考える上では避けて通れないテーマだといえる。

このようにみると、現在の広域地方計画は最終的な姿ではなく、将来的には道州制の議論と合流する形で、圏域や計画内容、推進方策等の見直しが行われることも予想される。

いずれにせよ、よりよい地域づくりと国土形成のためには、広域地方計画の圏域と道州制の区域(ブロック)が重なりあい、計画と主体が一体となって広域的な地域づくりを推進していく構図となることが望ましいと考える。

(図4)地方制度調査会の提示した道州制案

9道州

  • 北海道(1道)
  • 東北(6県)
  • 北関東信越(5県)→新潟
  • 南関東(1都4県)
  • 中部(6県)→富山、石川
  • 関西(2府5県)→福井
  • 中国・四国(9県)
  • 九州(7県)
  • 沖縄(1県)

11道州

  • 北海道(1道)
  • 東北(6県)
  • 北陸(4県)
    →新潟、富山、石川、福井
  • 北関東(5県)
  • 南関東(1都3県)
  • 東海(4県)
  • 関西(2府4県)
  • 中国(5県)
  • 四国(4県)
  • 九州(7県)
  • 沖縄(1県)

13道州

  • 北海道(1道)
  • 北東北(3県)
  • 南東北(3県)
  • 北陸(4県)
    →新潟、富山、石川、福井
  • 北関東(5県)
  • 南関東(1都3県)
  • 東海(4県)
  • 関西(2府4県)
  • 中国(5県)
  • 四国(4県)
  • 北九州(4県)
  • 南九州(3県)
  • 沖縄(1県)

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