中間とりまとめを読んで非常に印象的だったのは、全体としてはこれまでの5回の全総と、そうトーンが変わらないなということだ。テーマや力点は変わっても、時代の変化を少しずつ反映してきたことが、計画に連続性を生み出し、大きな変化を感じさせない要因となっているのかもしれない。
そうした中で今後重視すべき取り組みの一つとして「地域振興」があげられる。地域間格差や人口減少の問題をふまえると、これからの日本の将来を考える上で、いかに地方都市の存在感や活力を高めて行くかが重要になる。こうした視点から地域振興という課題を改めて考える必要がある。特に振興のための政策手段、手法を見直すことが重要だ。
これまで地域振興と言えば、大都市では規制緩和、地方では補助金などの財政措置や公共事業という手法が中心だった。しかしこれからはそうはいかない。大都市の規制緩和はやるところまでやり尽したという感がある。一方地方では、もはや財政出動だけ、規制緩和だけというのでは地域振興は難しいということもわかってきた。
これからは公共投資と民間の投資というのをいかにリンク、連携させていくかということを考えて、政策手段を開発・導入していかなければいけない。例えば投資減税とかマッチングファンドとかTIFといった手法、仕組みを活用して、公共投資がたくさんの民間投資を誘発するということを真剣に考える、そういう官民連携型の地域振興というのが必要だ。こうしたことを考えていかないと、地域の振興というのはなかなか現実のものにならないのではないか。
以上いろいろと見てきたが、国土形成計画あるいはこれからの国土計画に関わる課題は次の3点だと整理できる。
まず、私は今回の国土形成計画のポイントは地域の振興、地方の振興というところにあると考えている。特に日本海側についてはアジアとの連携というのがより重要なテーマとなる。そこに向けて民間投資や民間活力をいかに地域で生み出していくかということに、いろんな政策手段を集中すべきというのが一点目だ。
2点目はそのための道具としても枠組みとしても、道州制を実現していく、あるいはそうした議論を加速化して行くことが必要だということ。
3点目は国土利用計画法の改正。これは土地利用コントロールという意味で、非常に重要な鍵を握るので、ぜひ積み残された改正を行っていくべきだ。