中山間地域の地域づくり-過疎・自立・対策

日本と地方の行方が見えてくる-日本の「2010年問題」を検証する

人口減少時代における過疎地域の自立のあり方を求めて

今、日本には700を超える過疎市町村があり、全国のおよそ4割を占めている。人口では8%程度だが、面積では5割を超えている。(図1)

図1;過疎地域の現況

  (過疎市町村) (全国) (過疎地域の割合)
関係市町村数(平成21年1月1日) 731 1,781 41.0%
人口(平成17年国調:万人) 1,074 12,777 8.4%
面積(平成17年国調:km2 204,529 377,915 54.1%

総務省 自治行政局過疎対策室資料

過疎地域の定義は法律で細かく定められている。例えば過去35年間の人口減少率が25%以上であること、高齢者率が25%以上または若年者(15-29歳)率が15%以下といったことが要件だ。さらに直近の財政力指数(税収などの自己財源が予算に占める割合)が低い(0.42以下)ことも要件となっている。

過疎問題が注目されたのは高度経済成長期のこと。太平洋ベルト地帯の大都市周辺に工業地帯が広がり、労働力として地方から都市への人口流出が進行。これに伴い、地方では農林水産業の担い手が不足し、教育や医療、防災といった生活面でも弊害が現われた。一方で都市は過密による様々な問題が発生した。

社会問題化した過疎問題に対処するために、1970(昭和45)年に「過疎地域対策緊急措置法」が制定された。緊急措置と名づけられているように10年間の時限立法で、目的には「人口の過度の減少を防止する」という項目もある。

しかし地方から大都市への人口流出はその後も続き、その後10年ごとに改定される形で、新たな過疎対策関連の法律が制定。現在は2000年(平成12年)からは現行の「過疎地域自立支援特別措置法」(過疎法)が施行されている。

法律の名称が、過疎地域「対策」から「振興」「活性化」そして「自立促進」と変化しているように、社会変化に合わせて内容の見直しが行われ、目的や支援の方策も変わってきた。(図2)

図2;過疎法の変遷

法律名/期間 目的 (第一条より)
過疎地域対策緊急措置法

昭和45〜昭和54年度
(1970〜1979年度)
この法律は、人口の急激な減少により地域社会の基盤が変動し、生活水準及び生産機能の維持が困難となっている地域について、緊急に生活環境、産業基盤等の整備に関する総合的かつ計画的な対策を実施するために必要な特別措置を講ずることにより、人口の過度の減少を防止するとともに、地域社会の基盤を強化し、住民福祉の向上と地域格差の是正に寄与することを目的とする。
過疎地域振興特別措置法

昭和55〜平成元年度
(1980〜1989年度)
この法律は、人口が著しく減少したことにより地域社会の機能が低下し、生活水準及び生産機能が他の地域に比較して低位にある地域について、生活環境、産業基盤等の整備に関する総合的かつ計画的な対策を実施するために必要な特別措置を講ずることにより、これらの地域の振興を図り、もって住民福祉の向上、雇用の増大及び地域格差の是正に寄与することを目的とする。
過疎地域活性化特別措置法

平成2〜平成11年度
(1990〜1999年度)
この法律は、人口の著しい減少に伴って地域社会における活力が低下し、生産機能及び生活環境の整備等が他の地域に比較して低位にある地域について、総合的かつ計画的な対策を実施するために必要な特別措置を講ずることにより、これらの地域の活性化を図り、もって住民福祉の向上、雇用の増大及び地域格差の是正に寄与することを目的とする。
過疎地域自立促進特別措置法

平成12〜平成21年度
(2000年〜2009年)
この法律は、人口の著しい減少に伴って地域社会における活力が低下し、生産機能及び生活環境の整備等が他の地域に比較して低位にある地域について、総合的かつ計画的な対策を実施するために必要な特別措置を講ずることにより、これらの地域の自立促進を図り、もって住民福祉の向上、雇用の増大、地域格差の是正及び美しく風格ある国土の形成に寄与することを目的とする。

※下線部は編集部

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