中山間地域の地域づくり-過疎・自立・対策

日本と地方の行方が見えてくる-日本の「2010年問題」を検証する

期限切れ(失効)を目前に都市と地方で意見が分かれる

現行の過疎法が2009年で期限切れを迎えるにあたって、過疎法の効果に対する疑問の声があがり始めた。過去40年にわたって法律を制定し、国も地方も莫大な資金を投じてきた。しかしその過疎地域の支援対策は「本当に成果があがっているのか」、という疑問の声が都市部を中心にあがっているという。

一方、過疎地域を持つ自治体では、新法を制定するようにと主張を続けている。過疎地域は日本の防災や自然の保全に寄与しており、その役割を維持するためには国全体での負担が必要とする意見や、地域固有の景観や文化を守るという主張が多い。もう一つ、存続派の主張の背景には「過疎対策事業債」(過疎債)の存在がある。

過疎債は、事業費全額に充当でき、元利償還金の70%を普通交付税措置できるというもの。つまり70%までを国が地方交付税で肩代わりしてくれる。市町村合併の大きなインセンティブとなった、合併特例債よりも有利な支援制度だ。(合併特例債は事業費の95%に充当、普通交付税措置は70%)

また過疎債の適用対象は法改正の度に拡大されてきた。かつては道路などのインフラ整備にしか認められなかったものが、現行法では地域活性化事業にも使え、公共施設の整備に使用した自治体も多い。財政規模が小さい市町村にとっては貴重な財源となっている。

2010年に過疎法が失効して新しい法律が制定されないと、使い勝手のよい過疎債も利用できなくなる。その影響は甚大なものとなる。北陸4県を初め全国の自治体は、新法制定に向けて、総務省や各政党への要請活動を活発に行っている。

ページの先頭に戻る

北陸の視座バックナンバー