新しい国土形成計画は、全国計画とブロック圏ごとの広域地方計画の2本立てでこれからの日本の未来図を描こうとしている。道州制をめぐる論議もかまびすしい。これまで以上に地方圏の自立が期待される中で、国内外との地域間競争に負けない競争力を持つことが北陸にも求められている。
新しい時代には新しいインフラストラクチャが必要になる。道路や空港・港湾といった「装置インフラ」だけではなく、規制緩和や既存インフラの使い方に関する新しいルールなどの「制度インフラ」も含めて考えて行く必要がある。新しいインフラを選択し、国土に働きかけ構築・活用して行く主体として、地方圏の役割と責務はさらに大きなものとなる。
今後日本が注目すべきは東アジアの台頭であるが、北陸はアジアとの連携において地理的優位性を発揮できる地域だ。その優位性をさらに高め活用するためのインフラとして、北陸の空港や港湾の機能を高めることが考えられる。しかしその際には、釜山や上海の空港や港の状況や機能の検討を抜きに議論はできない。同時に、国内他地域の動向や連携の可能性、また北陸内での役割分担なども視野に入れながら、装置・制度の両面から計画・実現して行く必要がある。求められるのは国土学で言う「空間軸」の視点だ。
国土学を国土政策という立場から考えて行くと、その中身は地域計画論や地域政策論ということになる。強靭な国土、強い日本を実現・維持していくには、北陸をはじめとする地方を強くする、競争力を高めることが重要だ。それぞれのブロック圏域が強くなれば、それらが連携し相乗効果を生み出して、強い日本、国際競争力を持つ日本に貢献できる。地域づくりと国土づくりの連携が次代の日本には必要なのだ。
国土学は英語で「カントリオロジー」と訳すことにした。カントリーの学問、つまり地方から国土、すなわち強い日本を考える学問ということに他ならない。