北陸地域の海外進出企業の事業実態や課題を知るために、2007年8月に、企業1,377社を対象にアンケート調査を行った。有効回答数は50社(4.5%:70事業所)となっている。
事業所ごとの海外進出先を見ると、36ヶ所に上った中国・香港が最多で全体の65%を占めており、次いでタイの9%(5ヶ所)となっている(図5、不明分は除く)。
図5 事業所の海外進出先の構成
海外進出では中国への進出が多く、軽薄大量生産型の企業進出が多くなっている。また、輸出入や現地苦労話についても質問したが、事業規模による大きな差異は見られなかった。
その上で、事業規模別に進出企業の主な特徴を整理すると、年間販売額1,000億円以上の企業は、主にコストダウン要求に基づく中国進出を行っていることが挙げられ、事業内容は完成品の開発輸入を主とする生産活動が中心となっている。営業や資材の調達などは、現地日系企業と連携を取るなど、現地において相対的に安定した活動を行っている。
同100億円以上1,000億円未満の企業も中国への進出はコストダウンを目的に行っているが、企業内国際垂直分業の一環として構想され、国内の母工場化を図る例もあった。営業・資材調達活動では、現地で再検討を行うなど是々非々の対応が見られる。
同10億円以上100億円未満の企業になると、親企業に請われて進出するなど外在的な要因での進出が見られる例と、小回りを利かせて自ら新規市場開拓に乗り出す例が見られる。しかし、資材調達では電話、メールなどに依存するなど、現地人脈を活かしきれていない。同10億円未満の企業は、開発輸入目的となっているが、情報収集目的も多い。