北陸地域における公共交通の課題と展望

次世代型の公共交通サービス導入によるまちづくり 富山ライトレール(LRT)の整備効果を検証する

利便性の向上、サービス品質を改善
より利用者に気軽な乗り物へ

JR富山港線は、沿線人口がほぼ横ばいで推移しているにもかかわらず、モータリゼーションの進展、少子化などの影響で利用者は急激に減少。乗客が減るからサービスを低下せざるをえないといった悪循環に陥り、昭和63年から平成16年の16年間では利用客数が半減していた(図3)。事実、昭和45年には1日35往復であった運行本数は、平成17年には19往復にまで減少。また23時台であった終電時刻は、21時台へと早まっていた。

図3 富山港線輸送人員の推移

図

※沿線とは、各駅の駅勢圏(駅を中心とした1kmエリア)をさす

(人口、自動車保有台数は富山市統計書。輸送人員及び列車本数はJR西日本調べ。)

富山市は富山ライトレールへの移行にあたって、利便性の向上、サービスレベルの改善に取り組んだ。JR時代には、日中1時間に1本だった運行間隔を15分に1本、朝ラッシュ時は10分に1本にまで短縮。また、終電を23時に繰り下げるなどの大幅なダイヤ改編を行った結果、運行本数は開業前の38本から132本へと3倍以上にまで増加した。そのほか、電停(停留所)は600メートル間隔での設置を基準とし13電停(JR富山港線時代は9駅)に、また、乗り降りをスムーズにし定時性を確保するためのICカード(パスカ)の導入なども行っている(図4)。利用者優先のサービスを徹底することで、より身近な乗り物として受け入れられることをめざしたわけである(図4)。

図4 富山港線LRT化による運行サービスの向上

JR富山港線 富山ライトレール
運行本数 38本/日 132本/日
運行間隔 30〜60分 15分(ラッシュ時は10分)
始発・終電 5時台・21時台 5時台・23時台
駅数 9駅(富山駅除く) 13電停
車両 鉄道車両 全低床車両
運賃(大人) 対キロ制:140〜200円 均一制:200円
その他 ICカード(パスカ)の導入

(出典:富山市資料より編集部作成)

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