サービス向上を徹底したことで、富山港線の利用者数は大幅に増加した。富山ライトレール開業1年後の1日当たり利用者数は平日で4,988人、休日では5,576人。JR富山港線時代には平日で2,266人、休日では1,045人だったのに比べると平日で2倍以上、休日では5倍以上に膨れ上がったことになる(図5)。
図5 富山ライトレール開業後の1日当たり利用客数の比較
※JR富山港線の数値は平成17年10月2日に行ったアンケート調査、富山ライトレールの数値は平成18年10月5日に行ったアンケート調査によるもの。
(出典:「富山港線LRT化の整備効果調査」富山市、国土交通省)
特徴的なのは、60代以上の高齢者の利用が急増したことだ。富山市と国土交通省が行ったアンケート調査によると、JR富山港線時代との比較で60代以上の利用者が平日で3.5倍、休日では7.4倍にまで増加。また、富山ライトレールの平日・休日別の平均利用者数(平成18年度)で見ると、平日で約30%、休日で約43%が60代以上の高齢者による利用となっている(図6)。
図6 年代別利用者の変化
※JR富山港線の数値は平成17年10月2日に行ったアンケート調査、富山ライトレールの数値は平成18年10月5日に行ったアンケート調査によるもの。
(出典:「富山港線LRT化の整備効果調査」富山市、国土交通省)
富山市ではライトレール整備をきっかけとした高齢者向けの独自のサービスを行った(「シルバーパスカ」・「免許証返納奨励制度」)。
(「富山ライトレールの誕生」(鹿島出版会)より)
こうした取り組みも高齢者の利用促進につながったものと考えられる。こうした成果について、森富山市長は「家に閉じこもりがちな高齢者の方々の外出機会を増やした」との見解を発表(平成19年1月4日市長定例会見)。LRTが、移動手段としての機能以外にも大きな効果をあげていることを表明した。