富山市がLRTを導入した背景には、来たる少子・高齢化時代を控え、公共交通を軸としたまちづくりを進めることにあった。「広く薄い市街地」と「自動車交通への高い依存」という市が直面する課題に、公共交通を軸とした「コンパクトなまちづくり」を基本方針に掲げた。
富山ライトレールはそのリーディングプロジェクトである。将来的には富山駅の南側を走る路面電車(富山地方鉄道)を環状化し、富山ライトレールと接続。「コンパクトなまちづくり」をいっそう推進するとともに、LRTネットワークを都市の顔にするのがねらいだ。
開業後、沿線エリアでは「住宅等の着工件数が増えた」「福祉施設が建設された」などといった報道もなされ、LRT導入に期待した効果が徐々に見え始めたといえる。また、富山駅と住宅地を結ぶ路線であり、高齢者をはじめ自動車を利用しない人たちの移動を生み出したことから、中心市街地の活性化にも寄与しているという声もある。
富山新聞によると、開業から2年目となった平成19年度では、開業1年目に比べ利用客が減少。平日で5.4%、休日で30.4%の利用客の減少が報道されるなど、開業当初のインパクトは徐々に薄れ始めている。
しかし、富山ライトレールが市民の足として定着しつつあるとともに、その整備効果が徐々に様々な波及効果を生み出しつつあるのは事実であろう。今後は、富山市がめざす「コンパクトなまちづくり」にどのような効果を発揮していくかが注目される。