団塊の世代とならんで期待したいのが若者だ。農山村の現実を知らないからだという声もあるが、若者の農山村志向というのはかなり強い。もちろん直接移住ということにはすぐには結びつかないだろうが、ボランティアで支えるとか、そういうことでつながりがもてる。過疎問題懇談会では、そうした観点から集落支援員について議論を進めている。
集落は意外に強靭だ。人口が急減する過疎化の初期の段階では、実は集落機能はびくともしない。さらに人口が減少し続け、人数が本当に足りなくなる段階になって、ようやく集落機能は低下し始める。そこで集落の統合など、いろいろな再編を試みて、一生懸命V字回復の努力をする。
しかし、高齢化や人口減少がさらに進み身体を動かせる人が少なくなってくると、地域にあきらめ感が広がる。そしてある段階に達すると、もはや復元不可能になる。この地点・段階を我々は「臨界点」と呼んでいるが、ここまで来てしまうと、もう対応できない。いかなる政策も効果はない。
したがって、いわゆる「限界集落」対策はここまでが勝負になる。特に集落機能が落ち始めた時期に、かなり手厚い対応が必要になる。手厚い対応というのは何を意味しているのか。お金ということもあるが、それ以上に重要なのは、地域を見つめる目だ。外部の人間がこの地域に通って、あなた方の地域を我々は見つめているよ、というメッセージを出し続ける必要がある。
これまでは市町村の職員がその役割を果たしていた。ところが市町村合併などもあって、地域を見つめる目が少なくなった。そのため集落機能が低下するスピードが速まっている。何とかしなければならない。市町村の職員が足りないのならば、臨時職員という形で地域を見守る、見つめる存在をおく。つまり「集落支援員」を配置すべきだということになる。その役割を若い世代に担ってもらいたいのだ。
中越大震災の被災地では復興支援員を配置している。しかも都市部から来た若者やUターン・Iターン組も多いという。役割は、市町村と住民の間で被災地を見守り、地域の魅力や個性を発掘し、都市との交流を促すなど多彩だ。その仕組みや活動は、まさに集落支援員のモデルとなるものと考えている。
◆農山漁村への定住意向(世代別)
(出典)内閣府「都市と農山漁村の共生・対流に関する世論調査」(平成18年2月18日公表)
(注)1. 定住の願望は、「都市地域」に居住している者975人に聞いたもの。
2. 数字は、「願望がある」「願望がどちらかといえばある」の合計の値。