景気対策・雇用対策として公共事業を政策的に活用したことで、地方経済は公共事業への依存体質が強まった。また就業者が建設業に流入したことで、地域産業も建設業への依存度が大きくなってしまい、農林業の衰退に拍車がかかるなど産業の構造やバランスに問題が生じていた。さらに、公共投資には地方の負担が伴うために、地方自治体の歳出が膨らみ財政が悪化していた。
こうした中、2001年に誕生した小泉内閣は、財政再建を掲げて歳出削減を断行。公共事業費も一気に10%カットされ、その後も削減が続くことになる。
雇用や経済を支えていた公共事業が一気に縮小したことで、地方の経済は再び低迷期に入る。公共事業の主役だった建設業が雇用を支えられなくなり、それに代わる地域産業も育っていない。自治体の財政が悪化しているため、地域独自の経済対策も難しい。膨張していただけに、削減の落差が大きいと、そのインパクトはさらに大きなものとなる。
政策的に膨張させておきながら、削減する際には地方経済への影響への配慮や、雇用確保のための代替施策が十分に示されない。政策的な準備や手当てがないまま、公共事業が一気に削減されてしまった。それなのに「地方は自立してください」と言われている。公共事業削減のインパクトが、都市と地方の格差拡大につながっている。
建設業もこの間の動きに大きな影響を受けた。オイルショックを境に、成熟産業へと転換・成長していたところに、再び膨張することを求められ、特異な産業発展を余儀なくされた。膨張することで地域経済を支える役割は果たしたが、公共事業の削減とともに今度は建設業そのものの存続が危うくなってきている。さらにリーマンショックによる世界金融危機やドバイショックなど、国外でもアゲインストの風が吹き、建設業はまさに大変な状況にあるのが現状だ。